リクガメの飼育方法

リクガメの飼育方法

2023年1月26日

リクガメの飼育方法について解説です。

リクガメ飼育の基本

君たちはこれからリクガメを飼育するわけですが、まずほとんどの種類に当てはまる飼育の基本を頭に入れておきましょう。一般のご家庭でリクガメ君が快適に過ごせるようにするための優先事項です。飼育とストック(虐待)は違います。かめぢからは多くの方に生き物の「飼育」を楽しんでいただきたいと思っています。

リクガメ 水槽
これがリクガメ飼育の基本、かめぢから飼育セットです。
リクガメ 飼育
温度湿度管理のための十分なスペース、光の照射距離。
リクガメの飼育
リクガメ達もよく動きよく食べ飼育が楽しい。

気温

リクガメが生命活動をするために重要です。
ケージ内平均気温で昼30度、夜27度を目指そう。

湿度

散水は非常に重要。リクガメの代謝を上げたり、活力を与えます。

とんでもなく重要。紫外線UVBの事ばかり言われますが実は違う。

スペース

気温、湿度、光すべてをまとめるのが飼育をする広さ(スペース)です。
広さを決めるケージ選びはとても大切です。

床材

床材は湿度と密接な関係にあります。
リクガメの健全な脚腰を作るためにも床材は必要です。

エサ

毎日コツコツと成長を積み重ねる要素となります。良いエサは良い成長の源に。

気温 Temperature

適切な気温を維持することでリクガメは動き回り、餌を食べ消化するなどの代謝活動を行います。気温が適切でないと生きるために基本となる活動ができません。特に小さい個体は気温への依存度が高いです。

昼間はケージの平均気温で30度(メタハラ/スポットライト周辺で38度くらい、ケージの隅やメタハラから離れた場所で27度くらい、平均して30度)、気温には高低差をつけてカメが自分で歩いて好きな温度域を移動できるようにすると良いです。ケージの端から端まですべて同じ温度というのは良くありません。特に温かい場所、涼しい場所を作ることが大切です。夜は平均で27度くらいを保つようにしましょう。

昼間/夏ケース1 メタハラ照射の周辺42度、メタハラから離れた日陰部分29度、ケージ平均気温34度、空気の流れがあり、ケージ内の空気の入れ替わり激しく行われている状態(遠くから扇風機で風を送るなど)。まあ大丈夫です。
昼間/夏ケース2 メタハラ照射の周辺42度、メタハラから離れた日陰部分29度、ケージ平均気温34度、風などがなく空気がこもっている状態。カメが熱中症になる危険があります。

同じケージ内平均気温34度でも空気の入れ替わりが激しい状態とそうでない状態では違います。夏などは気温が32度を超えてしまう事もあります。扇風機やエアコン、ケージ近くの窓を開けるなどで空気が流れるようにしましょう。もちろん涼しい風を送れるエアコンが一番良いです。また、散水もしましょう。床材を程良く湿らせることで床材中の水分が蒸発し、気化熱となります。ケージ内の湿度が上がることでケージ外との湿度差ができるので気圧の変化からケージ内の空気が外に出て、ケージ外の空気がケージ内に入ってきます。これにより空気の交換が行われ、暑くても涼しい環境を提供してあげられます。夏場はスポットライトなどはオフにするものの、メタハラの光や全体照明の光、屋外の暑さなどでどうしてもケージ内も暑くなります。絶えず流れる空気をイメージして飼育してください。

昼間/冬ケース1 メタハラ/スポットライト照射の周辺38度、メタハラから離れた日陰部分24度、ケージ平均気温28度、やや寒いかもしれませんが、これくらいならまあ大丈夫です。メタハラとスポットライトの光部分が温かいはずなのでカメはこの場所に集まってきて体を温めます。離れた部分がやや寒くてもバスキングができる温かい場所を作っておけばOKです。夏とは違い、嫌でもケージ内の空気は外に流れてしまうため、ケージ内の気温を上げたいのなら室内の気温を上げるようにしましょう。ケージ内の気温(気温が暖かめ)とお部屋の気温(気温が寒い)に差があるほどケージから外に空気がどんどん流れ出てしまいます(気圧差によるもの)。ケージの気温とお部屋の気温差が少ないほどケージから空気は流れ出にくくなり結果としてケージ内は温まります。理想として冬でもお部屋の気温が25度あればケージ内(かめぢから飼育セットの場合)の平均気温は30度になります。それ以外に、ケージを置く場所を高くするのも良いです。お部屋の空気は高い場所の方が暖かいからです。高さが1.5m違うと気温は3℃~4℃も違います(例:床の気温が10℃だとした場合、あなたの頭の高さの気温は14℃くらいあります。つまりはケージを床に置くよりもあなたの頭の高さくらいの台か何かに置いた方が温かくなるのです)。空気が温かい、ホコリなどが少なく新鮮であるという理由から私は人間の腰以上の高さにケージを置くよう推奨しております。
このように同じ飼育設備でも夏と冬では違っています。季節に合わせてお部屋の温度、空気の流れを気にするようにしましょう。なお、4月から6月の春、9月から11月の秋は特に気温や天気を気にすることなくケージ内の温度は平均30度くらいに保てます(かめぢからケージの場合)。

適切な気温を作るための器具、または気温に影響する器具

リクガメ スポットライト
ハロゲン、スポットライト
光が当たっている部分はとても暖かくなります。
リクガメ 保温
暖突
昼間の保温の補助、夜間の保温メインとして必須です。
GEX爬虫類用サーモ
爬虫類用サーモスタット
暖突の放熱をコントロールするために必要です。
リクガメ ライト
メタハラソーラーラプターHID
強力なUVBと明るさを放出するライトです。熱も出ますし、保温効果もあります。
爬虫類 紫外線灯
全体照明
これも電気器具である以上熱は出ますし、ケージ内の気温に多少は影響を与えます。
底面ヒーター
ケージ内の空気にはほとんど影響を与えませんが、床材を温かくします。

底面ヒーターは必ず敷きましょう。お腹が冷えてしまうとリクガメ君は下痢や消化不良などを起こしてしまいます。食べたエサを適切に消化できるようにお腹を温めるための底面ヒーターを設置してください。また、底面ヒーターがあることで空気の気温が低下してもヒーターの周辺に潜り、寒さを凌ぐことができます。気温の面で言うと最終的な砦が底面ヒーターなります。万一のためにも必ず底面ヒーターをセットしたケージで飼育してください。余談ですが、当店が冬の時期にカメをお客様にご発送する時に最も重要視するのが底面ヒーターの役割をする、下から温める部分のホッカイロです。ホッカイロでカメのお腹とその周辺の床材が温まるように新聞紙を何枚も重ねても温度を調整して梱包いたします。「発送中にカメは床材の中に潜ってじっとしている、床材がある程度暖かければ無事に到着する」という理念で梱包箱の気温よりも床面の熱を重要視します。この梱包で現在まで3000個体ほどのカメをご発送し、一度も死亡到着、状態不良はありません(会社/個人としてもおそらく世界記録/死亡率0%の技術)。故に下から温めるヒーターはカメが生きるために重要です。

夜の保温について
夜間の保温は暖突と底面ヒーターで、お部屋の温度はエアコンなどで調整しましょう。リクガメの飼育では夜、光を出す電気類をすべて消灯します。バスキングライト、全体照明、メタハラソーラーラプターの電気は消えるのでそれに伴った放熱もなくなります。夏場はちょうど涼しくなりケージ内の気温は25度~28度くらいになる事が多く特に問題はないでしょう(場合によってはエアコンでお部屋の温度を調節。人間が快適ならカメも平気です)。問題は冬でライト類が消えてしまうとケージ内の気温が一気に落ちます。そこで暖突がパワー全開で放熱を開始しケージを温めるのですが(暖突は基本、爬虫類サーモと組み合わせて使用します)、真冬などは設定温度を上げてもケージが十分に暖まらないことが多くあります。その場合、お部屋を暖めるようにしてください。夏と同じく人間が快適に過ごせるお部屋の気温であればケージの中も大丈夫です。ケージの置き場所が人間の生活空間とは別の場所にある場合や、人の出入りが少ないお部屋にある場合は注意が必要です。リクガメの屋内飼育というものは、あくまで人間が普通に生活できる気温の中でこそ成り立ちます。お部屋の気温があってのケージの気温なのだという事を念頭に置いておくべきでしょう。冬、お部屋が寒い場合はサンラメラを置くと良いです。サンラメラを600Wで3mくらい離してケージに向けて設置しておくとケージの壁や正面部分が物理的に暖まりますので、ケージ内の保温が効率よくなります。

カメボス
カメボス

爬虫類サーモを使う場合は光を放つライト類は全てタイマーのコードに接続する。サーモコードと繋げるのは暖突のみだ。サーモコードは設定温度によって自動でON/OFFが切り替わる部分の事だ。この部分にスポットライトなどを繋げるとライトが点いたり消えたりを繰り返して長持ちしない。気温によってついたり消えたりするライトにカメもウザいと思うだろう。夜なんてたまったもんじゃない。だから、サーモコードには暖突だ。ただし、暖突は光らないから目視ではON/OFF状態を確認できない。たまに手をかざして熱風が出ているか確認するのだ。ハロゲンやスポットライトはタイマーコードと繋いだ上で温かい日、天気が良い日は手動でオフにしておく。もちろん真夏はずーっとオフだ。メタハラの光と外気温で十分に暖かくなる、むしろ暑すぎるくらいになるからな。暖突は真夏の間、何もしなくてもサーモが気温を感知してOFFになっているはずだ。

気温まとめ

同じ飼育環境でも夏と冬では気温が全然違ってくるという事を理解する(たとえサーモで管理していても)。
ケージは人間の腰よりも高い位置に置くと良い。ここを流れる空気は非常に良い。
飼育ケージは君たちが良く出入りするお部屋(リビングや自室)に置くのが良い。

光 Lighting

気温と同じく、リクガメの代謝活動に影響を及ぼすのが光です。リクガメ君にやる気を出すような光を当ててあげないと代謝が落ちて活動量が減りエサも食べなくなり死に至ります。

非常に重要です。はっきりしておきますがリクガメ飼育ではUVBの強さ云々よりも光の質、明るさ、色、照射距離が大事です。もちろんUVBも大切ですよ。しかしUVB不足でクル病になっているリクガメを見たことがありますか?私はココ20年以上見ていません。紫外線不足で爬虫類がクル病になってしまうのは事実ですがそうそうなりません。紫外線を浴びていない状態で栄養価の低いエサを食べ続けて、かなりの長期間生きている個体が罹るのがクル病です。特にベビーがなるのですが、クル病になる以前に栄養失調で死んでしまったりするのが現状だと思います。クル病の爬虫類を見るのは現在ではなかなか難しいです(ありえなくはないですが、上のクル病になる条件をピンポイントで作るのが難しいです)。なぜかと言うと紫外線UVB照射という意味では爬虫類ライトの性能が非常に良くなっていることが挙げられます。現在の爬虫類灯具のほとんどはクル病を予防できるくらいの紫外線UVBは当たり前のように出ている、それに付け加え飼育技術が発達してきていろいろなエサの販売や利用、エサの選択肢が数十年前と比べてかなり広がっているという点、つまりリクガメ(爬虫類)の栄養面の発展からもカルシウム不足になる個体が少なく、クル病は今ではあまり見かけない病気になっているのだと思います。しかし、リクガメを飼育していると最初エサを食べていたのにだんだん食べなくなり、動かないで寝ていることが多くなり死んでしまうパターンが多いことでしょう。これはなぜか、気温や湿度などの問題もありますが、多くの飼育者が見落としているのが光です。紫外線UVBなどはなしで考えて、リクガメは太陽の光が大好きです。この光がないと元気がなくなり死んでしまう事が多いです。つまり白い透き通るような強い光が必要なのです。ソーラーラプターHIDを使ってください。強力なUVBが出ているのはもちろんですが、その光が太陽光に非常に近く、白く明るく強い光を出します。リクガメはこの光が大好きです。オレンジ色や赤っぽい光、黄色系などの光やライトはリクガメはあまり好みません。いくらスポットライトを当てても気温は温まりますがリクガメの高揚感は高まりません。色がオレンジ系だからです。蛍光灯の青っぽいのもダメです。白です白。わからない人は今外にでて太陽見てください。これと同じ色の明るさの光がリクガメ君には必要です。太陽の光というのは蛍光灯やスポットライトとは違う光だというのがわかると思います。お部屋の電気(蛍光灯)をいくら点けても外に出れば全然明るく感じます。お部屋は暗いんです(あなたにとっては明るいかもしれない、しかしリクガメにとっては暗い)つまり蛍光灯などではいくらUVBが出ていてもリクガメにとっては暗い。通常の爬虫類用灯具では暗いから代謝が上がらない(リクガメは光を感知して生活する動物、夜行性でないのがその証拠)、明るい光を浴びせてあげてください。よろしくお願いします。補助的にケージ全体を覆う照明も必要です。残念ながらソーラーラプターの光だけではまだ足りません。もっと明かるさが必要です。それも全体を幅広くカバーする全体照明が必要です。蛍光灯ツイン、ZOOMEDテラリウムフード、GEXコンパクトトップなどから選ぶと良いでしょう。補助的に紫外線が出ている物で明るい物がお勧めです。メンテンナンスのし易さや蛍光管の交換の手間などを考慮して選ぶと良いでしょう。市販のLED蛍光管(白系)などを使って自作しても良いです。紫外線UVBは出ない灯具となりますが紫外線はソーラーラプターHIDのUVBで十分補えているため、交換の手間やライト寿命などからLEDを選択肢にいれるのも良いと思います。私も実験的にいくつか取り入れています。

爬虫類 メタハラ
メタハラ+全体照明が光の基本です。店内すべてのケージがこの装備。スポットライト+全体照明では光が足りなすぎです。
ソーラーラプターHID
さらに天井からもメタハラ照射。ケージの通気口などからもさりげなく太陽光レベルの光が差し込みます。
ソーラーラプターHID
だから当店のリクガメたちは元気に動くのです。カメたちはちゃんとメタハラの下に集まって日光浴をします。
ソーラーラプター
かめぢからお勧めのソーラーラプターHID50W 組み立てがややこしいので私が組み立ててすぐに使える状態にしてお渡し可能です。
ソラリウム。1つの機器でワット数が異なる電球の使い回しができるのが特徴です。
日本未発売のSUNRAY。ラプターに近い白系の光を出すメタハラで非常に良いようです。固定式で設置に融通が利かなそうだ…
カメボス
カメボス

とにかく太陽光に近い色をした明るい光をリクガメに当ててやってくれ。カメは視力がめちゃくちゃ良い。カラーで物が見えている。自分の気分が良くなる光を知っているんだ。ただ温かければ良い、UVBが出ていればいい、ってわけじゃねえ。お前ら天気が良いに日に外に出たら「今日天気がいいな、1日頑張ろう」ってなるだろ?あの気持ちをリクガメも持ってるんだ。これマジ本当信じて。

光のまとめ

光はソーラーラプターを中心に補助として通常の爬虫類蛍光灯などを全体照明として使う。ラプターの代わりとしてソラリウムも悪くはありませんが、光が若干黄色っぽい点からソーラーラプターHIDに一票。EXOTERRAのSUNRAYも良いですが日本では発売されていないため、現状はソーラーラプターHIDが良いです。中でも50Wがお勧め。夏は暑くなりすぎずに使いやすく光も十分に強いです(HID70Wはより強い光を出しますが夏の温度上昇がキツいかも)。光の主力はメタハラです。

湿度 WaterShower

湿度を保つことにより健全な甲羅と表皮の成長を促します。あまりに乾燥した空気の中で日常的に呼吸をするのも良くはないので気にしてあげましょう。

リクガメの飼育には湿度も重要です。乾燥しすぎると脱水症状で死んでしまったり、甲羅がいびつな形で成長してしまいます。ほぼ毎日散水を行い、床材にある程度の湿り気を含ませるようにしましょう。リクガメは乾燥地帯に住んでいる種類が多いですが、大地を掘っても掘っても乾燥した砂しか出てこないというような土地にはいません。一見乾燥した大地でも穴を掘ってみると内部に湿り気を含んでいるような土地にいます。そういった環境には植物が生えており、リクガメはこれらを食べて生きているわけです。ケージ内も同じです。床材内部にある程度の湿りを持たせることが大切で、そのためには定期的な散水が必要となります。自然のリクガメが最も活動的になる時はいつかご存じでしょうか?それは雨上がりの晴れた日です。このような日は活発に動き回り様々なエサを食べ歩き回ります。ケージ内でも散水を行い、一時的に湿度を上げてリクガメ君の活力を高めてください。エサ食いが非常に良くなります。湿度維持のためにはホースなどでシャワーを行うと良いです。ミスト状の霧吹きですと全く床材内部まで水が浸透しません。もしくはペットボトルで勢いよく床材に向けて水を散布すると良いでしょう(園芸用のペットボトルシャワーキャップが安価で手に入ります)。1度で500mlくらいが良いでしょう。あくまで通気性に優れたかめぢからケージの場合です。散水をして、1時間もすれば床材表面の水は乾燥してしまい、内部にだけで湿り気が少し残るくらいが良いです。他の水槽や爬虫類ケージではここまで計算されて作られていないので私は知りません。

かめぢから店内でのリクガメ君たちの1日ルーティン。
午前10時半にリクガメの電気が点く、13時ごろにはケージ内の気温が十分に上がってきて照明の光効果と合わさってリクガメたちが完全に動き出します。シャワー(散水)をします。リクガメの動きがさらに活性化されます。13時30分ごろにエサを与えます。夕方17時ごろに2度目のシャワーを散水。エサ皿などに水をひたしてあげるとカメは水を飲みに来ます。夜19時に消灯。通常、1日2回ほど散水、梅雨の時期は1日1回、週に2回ほどは水を撒かない日を設けています。湿度は1日平均で60%くらいです(シャワーを撒いた直後湿度85%から40%くらいまで落ちる感じで1日平均60%)。
※温浴をしないと朝カメが起きないとか、餌を食べないというのは飼育方法が悪いからです。正しい飼育方法で飼えばリクガメ君が自分で起きてきて活発に歩き回る毎日となります。温浴云々と言っている方は根本的な飼育環境を見直しましょう。野生にいるリクガメが毎日お風呂に入らないのが答えです。当店ではカメの体に糞などが付いて汚れてしまった時ぬるま湯に軽く浸して歯ブラシで磨くくらいしかしません。

リクガメ散水
カメに当たらないようにシャワーを勢いよく撒きます。床材内部に水を浸透させる事が重要。
リクガメの飼育
シャワーで散水したあとリクガメたちはさらに活発に動きます。このウロウロ感が楽しいです。
リクガメの飼育
もう、エサを食べたくてしょうがありません。ケージの手前限界まできてアピールしています。
カメボス
カメボス

夏の散水は水でOKだが、冬は温かいお湯で散水したほうがいいぞ。冷えた水でのシャワーはケージ内の気温が低下してしまうし、カメにかかると冷たくてかわいそうな気がする。ちなみにオレは真冬に筋トレした後、外に出て頭から冷水かぶってクールダウンしてる。よく風邪ひいて寝込むぞ。

湿度まとめ

リクガメの調子を上げるために必要。湿度↑と湿度↓のバランスが大事。
ケージの通気性や保温器具などがあっての湿度だという事を理解しよう。
散水をして自然の大地に近い地面を作り、乾燥しすぎを防ぐ。保湿に適した床材が必須。

スペース Space

上記の気温、湿度、光をまとめ上げるためには適切なスペースが必要です。

かめぢからのリクガメ飼育方法をここまで読んでいただければわかると思いますが、飼育はすべてが繋がっています。適切な光は適切な気温を生み出し、程よく気温と湿度を保つにはケージの広さや通気性が重要であるという事です。良い飼育環境とは全てがバランスよく噛み合っている環境です。適切なスペースで飼育することにより自然とすべてまとまります。そのスペースというのがかめぢからケージアドバンス(90㎝x45㎝x60㎝)です。60㎝水槽などでリクガメを飼育しないでください。それは間違いです。60㎝の水槽を選んだ時点で初心者は失敗に終わります。あなたのリクガメが1年以上生きることはないでしょう。上記の説明を当てはめても60㎝水槽では全く勝手が違ってきますし、実践することも再現することもできません。60㎝水槽では狭すぎて無理なのです(ライトの大きさやワット数を考えればわかるかと思います)。60㎝クラスの水槽でリクガメを飼育する場合はお部屋を年中28度にしてメタハラを別で吊るして照射距離55㎝くらいから水槽の半分程度に光を当て、その他の補助ライトもうまく使用し、水撒きなども自分のさじ加減で極めれば大丈夫かもしれません。しかし、一般のご家庭で一部屋を常に28度に維持する方が大変です。これはご家庭での飼育方法ではなく専門店などでの飼育方法になるので今ここで説明している「ご家庭向けのリクガメの飼育方法」とは一線を画します。
一般のご家庭でリクガメを飼育する場合、90㎝×45㎝×60㎝くらいのケージであれば大体平気です。ご自分で作っても良いですし、同サイズの水槽などを少し改造して用いても良いでしょう(通気性や保温力の面でかめぢからケージよりも劣りますが、多分平気ではないかな。オレは知らん)。ケージの使いやすさ、リクガメ飼育に特化した性能や積み重ねが可能な点、コストの面でかめぢからケージアドバンスは他のあらゆる同サイズのケージや水槽と比べて優れています。詳しくはかめぢからケージのページをご参照ください。

リクガメの飼育
かめぢからケージだからこそできる温度作りと明るく適切なライトの照射。
リクガメケージ
この空間がリクガメ君の住む世界となります。あなたがリクガメだったらこういう環境で生活してみたくありませんか?
リクガメ 水槽
現在では廃番となっている古い爬虫類器具などでもすべて設置できるように作られています。
カメボス
カメボス

君たち、家を建てる時まずは広さから考えるよな?広さを決めないと間取りとか家具とか選べねえだろ?リクガメの飼育も同じだ。まずは広さ、ケージを選んでくれ。ケージの大きさが決まらねえと中に入れるライトも決まらねえぞ。そして狭ければ狭いほど使える器具は少なくなる。広いほど機材の選択肢は増えるんだ。かめぢからケージならさらに機材に合わせて改造もできる。木製だからネジでステッパーを増やしたり、吊り下げ機構を作ったり自由自在だ。まさにオレの人生のように自由だ。

スペースまとめ

かめぢからケージを使用しよう。それ以外は知らん。

床材 Soil

当店オリジナルの力土セットを使ってください。これ以外は考えられません。湿度維持などのために散水をした時に程よく保湿できる床材が良いです。故に水を撒くとカビが出るクルミなどの床材はダメ、使用しているうちに削れてただの粉(泥)になる赤玉土などもお勧めしません。新聞紙などもってのほかです。長期的にリクガメの飼育を考えるのであれば床材は力土セットです。

リクガメ 床材
内部は保湿性が高いココパーム微細、表面は見栄えがよくカメが汚れない力土COATの2層です!
リクガメ飼育環境
圧倒的な品質で消臭効果抜群です。すべての種類のリクガメやハコガメにお使いいただけます。
リクガメの飼育方法
野生の一コマを切り取ったかのような空間がそこに。自然の大地がリクガメを引き立てます。
カメボス
カメボス

1年に1回コンテナで1トン以上の床材を輸入するんだが、毎回一口食べてみて安全性を確かめている。リクガメが食べても大丈夫?とか言う質問にはうんざりだ。オレ自身が食って今生きてるから平気なんじゃねえの?まあ、一口、ちょっとだけ味見してるだけだけどな。安全性を確認する究極の確認方法は口の中に入れてみるってことだ。オレは自分が操縦する飛行機のプリフライトチェックで飛行機の味まで確認することにしてる。気持ち悪いからやめろと周りのパイロットには引かれる。

床材のまとめ 

力土セットを使う。この一択。力土セットの詳細はこちら

エサ Meals

リクガメの主食にはカルシウムを多く含む野草や野菜を与えましょう。野草ではタンポポ、オオバコ、ヘラオオバコ、クワの葉、ノゲシ、オニノゲシなどが良いです。野菜では小松菜や青梗菜(チンゲンサイ)がお勧めです。個体によって好き嫌いの好みが出ますので、これらの野菜と野草をいくつかミックスして与えると良いです。また葉の硬さや比重の違いからいろいろな葉を混ぜた方がカメが食べやすい形に盛り付けることができます(例えば小松菜のみを刻んで与えると葉がエサ皿にくっついてしまいカメが食べにくくなります。リクガメは地面から生えている葉っぱや植物を食べるように進化してきており、高さがない野菜を食べると言ったような器用な口の動きができません)。春になったら野草のバリエーションを写真にて掲載したいと思います。あいにく今は冬で野草をかき集めるのも大変ですトホホ。ベビーサイズのリクガメには上記の野草野菜にハーブ系の原料を主とした配合飼料を粉状に砕いてまぶして与えるのも良いでしょう。当店ではセララフィプロ草食用のタブレットを時折砕いて混ぜて給餌しています。ベビーの甲羅が硬く安定してくるのが早いと感じます。もちろん各種カルシウム剤なども時折混ぜると良いでしょう。熱帯雨林に生息する種類(エロンガータ、アカアシキアシ、ムツアシガメなど)には果物も混ぜて与えると良いと思います。エサの回数は1日1回が良いです。一週間の内、1日くらいはエサを与えない日があっても良いでしょう。リクガメは野生下では天気の良い日に活動してエサを食べます。毎日天気が良いわけではありません。雨の日などは1日中穴ぐらに隠れていますし、毎日エサを食べているわけではないからです。また飼育下と違って新鮮なエサばかりを食べているわけではないのです。しかし、野生個体は非常に美しいです。なんといっても甲羅の形がスムーズで凸凹がなくツルンとしています。一方、飼育下で育った個体は野生個体よりも成長が早いものの甲羅の形は良いとは言い難い個体が多いです。特に成長が早い個体ほど甲羅の形がいびつになります(かめぢからの研究による)。つまりエサをたくさん与えれば良いわけではないのです。成長が早ければ甲羅の形は絶対に悪くなります(私が考えている野生個体の基準と野生個体をあまり見たことがない人の基準が違うので強く語りませんが、野生個体に美を感じる自分としての考えです)、リクガメは「確実にゆっくりと成長している」というのが上手な飼育方法だと思います。リクガメは野生動物です。愛玩動物ではありません。可愛いから、餌をあげるだけ食べるからと言って愛玩動物的な飼育をするのは根本的に間違っていると考えます。

リクガメフード、配合飼料について 
上記で書いたようにハーブ系や植物系を主原料とした配合飼料を粉状にして野草などに混ぜて与える以外は一切与えません。配合飼料を与えるとリクガメの成長は早くなりますが,偏食になり野菜などを食べなくなる事が多いです。また先にも述べたように成長が早い=甲羅の形が野生とかけ離れているため、見た目かっこ悪い個体に育ちます。甲羅だけではなく嘴も伸びてしまい顎の接合に問題がでてきたりもします(配合飼料は水でふやかして与えるため軟らかく、噛む運動をしない、嘴が削れたりもしないため)。アメリカの研究で配合飼料主体で育ったリクガメは内臓疾患で短命に終わる個体が多いというデータもあります。配合飼料=甘い匂いが強い、リクガメが良く食べる、とてもいい!配合飼料=リクガメの成長が早い、だから問題ない!こういった考えは非常に浅はかであるように思えます。あなたの食事を考えてください。毎日好きな物ばかり食べてみてください。太りますよね(あなたの体は大きくなりますよね?)どんどんどんどん体が大きくなるからこれは健康にいいんだ!ばんざーい。最終的には成人病とかになって死にますね。リクガメも同じ。早い成長で大きくなればいいってもんじゃないって事です。配合飼料を主食として与えてリクガメが野生個体のような美しいフォルムに育つというデータは1つもない。また配合飼料を与えて50年以上生きたというデータも証拠も記録もない。つまりは配合飼料を与えると成長は早いが短命に終わるという事です。配合飼料を与えるのであれば一時的な期間で成長を促すためなど単発的に与えてみるのが良いと思います。また、偏食をしないように野菜や野草に混ぜるなどの配慮が必要です。リクガメに与えるエサ、給餌は本当に奥が深いです。私もまだまだ勉強中です。リクガメの成長はエサだけでなく遺伝子の部分や湿度なども影響しますし、これが絶対という答えまで辿りついていません。人間よりも寿命が長い生き物ですので、答えが出にくいのでしょう。人間ですらこれを食べていれば絶対に病気にならないとか、長生きできるとかそんなもんまだ発見されていないのですから。リクガメの食事も人間の食事もバランスが大事なんだと思います。

リクガメ 野草
本日1月20日真冬。探せば採れます野草。写真はノゲシです。まとめて採取して冷蔵庫保管。
リクガメのエサ
レプタイルプロ草食用を細かく砕いてパウダー状にしたものをベビーのエサに時折混ぜて与えます。
リクガメのエサ
リクガメ餌こんな感じ。種類によって野菜野草、バナナリンゴ、配合調整などをしています。
カメボス
カメボス

オレはリクガメの飼育の場合、水入れや水皿は置かない。あいつら歩き回ってぐちゃぐちゃにしたりひっくり返したりやりたい放題にしてくれるからだ。かといって飲み水を与えないわけではない。エサをやって3時間もすればエサ皿は空っぽになる。そのタイミングで2度目の散水をして空になったエサ皿に水を浸してやるのだ。そしてその1時間後にはお皿撤去と掃除をしている。1つのお皿で2役をこなして、カメが汚す機会も最小限にとどめるのだ。1日1時間くらいしか水を飲む機会がないが、そもそもリクガメはエサから水分補給をするような内臓構造になっているから十分なのだ。毎日、新鮮なエサを与えてやってくれ。

リクガメ水飲み
午後4時くらいに2回目の散水だ。その時にエサ皿に水を浸してやるぞ。
アルダブラゾウガメ
散水後、アルダブラ君はほぼ毎日水を飲んでいるようだ。
リクガメ水のみ
日によって水を飲むカメ、今日はいいや…と飲まない個体様々である。

エサまとめ

カルシウムを多く含んだ野草、野菜を主食に与える。
嘴の伸びすぎ防止、顎の健全な発育のためよく噛ませ、食いちぎる動きができるように。
配合飼料はよく考えて与える。カメの成長に問題がなければ与えなくても良い。

リクガメの元気がない、餌を食べなくなった…etc

環境が良くないからリクガメの状態が悪くなるのは上で述べたとおりです。まずは環境を見直してください。気温、湿度は特に状態が悪くなった1週間前くらいにさかのぼって調べて確認しましょう。夏場の熱中症などを除き、状態が悪いと気が付いたその時の環境ではなくてそれ以前の環境が不適切になっていてリクガメ君が絶好調から脱線して今に至っている場合が多いです。そのため、ここ一週間カメの状態はどうだったか、気温はどうだったかしっかり思い出してみてください。問題が見つかったらすぐに改善しましょう。常日頃からリクガメを観察していないと難しい事だと思います。上で何度もお話しておりますが、毎日観察すること。これ以外にうまく飼育する方法はないと思います。毎日観察していれば問題の発見も速くなり、手遅れになる可能性は低くなります。リクガメの不調は食事に表れます。「いつもよりエサを食べない」などは注意が必要です。「小松菜などを食べないが何とかの他のエサや果物などは食べる」これも絶好調ではありません。小松菜はリクガメの基本食ですが、実はリクガメあまり好きではありません。小松菜とレタスならレタスを好んで食べます。しかし、絶好調なリクガメは小松菜を食べます。それほど好きではない物を食べるというくらい食欲があるという事です。「小松菜を中心与えていてエサを食べなくなったが違うエサを試したら食べた」。他のエサの嗜好性からリクガメ君がエサを食べているだけでカメ自体は調子は良くありません。こういった場合、エサを変えるのではなく環境を見直してください。根本を改善しないとやがてレタスなども食べなくなり死に至ります。気温、湿度、十分なメタハラ照射による光、夜間から朝方の気温はどうなのか?など。リクガメが絶好調の場合、その時の環境をこまめにメモしておくと良いです。午前から午後にかけてのケージの気温や湿度など、すべてメモしておいてください。元気がなくなってしまった時にそのメモを見て環境を比べてみましょう。元気だった時と同じ環境を再現できれば復活する可能性は高まります。例えば絶好調だった時よりも1日の平均気温が3℃落ちてるとわかったとします。3℃上げてください。しかし、リクガメ君は3℃上がったからと言ってすぐには元に戻りません。その状態で1週間くらい飼育するとだんだん調子が上がってきて元のように戻ります。「気温を上げたのにまだエサをよく食べない。」まあそんなもんです。じっくり待ってあげてください。こういった時は散水をしっかりとしてエサはなしにしても良いです。環境が整っていれば代謝が上がるのでリクガメはお腹を空かせます。完全にお腹が空くまで2~3日エサを与えなくても良いと思います(ベビーでも)。それとリクガメが良く動き回るのはお腹が空いている時です。ケージの中を歩き回っていたらお腹が空いているという合図なので、そのタイミングで小松菜などを与えると良いでしょう。エサを食べないという理由はたくさんあります。原因の多くは環境の何かが、悪いという事です。

以下、エサ食いが落ちる原因となる事例です。
カメが病気:適切ではない飼育環境の蓄積がカメの病気を引き起こします。獣医さんに診てもらいましょう。
ここ数日寒い:冬場にエサ食いが悪くなる理由の一つです。
代謝が下がっていて自然的にエサ食いが悪い:これも冬に多いです。基本、リクガメは夏の方が元気に動き回り冬は動きが緩慢になる事が多いです。その結果、夏と同じ量のエサを与えても食べません。エサを与える、食べて欲しいというのは人間のエゴです。リクガメは冬の時期そんなにエサを食べたくないのかもしれません。リクガメの生活ペースに合わせてあげるのも飼育者の務めです。ここは割り切るとこです。
リクガメを触っていて床に落としてしまった:カメはショックからその日1日エサを食べないこともあります。
喉に何かつっかえている:これ稀にあります。前日食べた野菜の葉が喉や下あごに張り付いてしまっていて食欲が出ないなど、口を変なふうに動かしていたり、しゃっくりのような行動をするので注意して観察しましょう。ハコガメなんかでもあります。昆虫の触覚が髪の毛のように喉に詰まっていたとか。口を開かせてピンセットで中の異物を除去して、軽く温浴をさせましょう。水分を取らせて口内をキレイにします。
ケージや床材に問題がある: 自作ケージによるホルムアルデヒドや接着剤、有害物質の飛散など、カメは敏感に反応し直接的な体調不良の原因となります。また、小動物用の床材などもカメ(爬虫類全般)にとって有害となることもあります。かめぢからケージのように過去に何千個体ものリクガメを飼育し実績と安全性、機能が実証されているケージをお勧めします。

カメボス
カメボス

冬は全体的にリクガメの調子は落ちる。冬は気温を少し暖かめに設定しておいたほうが良いぞ。「夏の30度と冬の30度では体感温度が違う」っていう話をどこからのエアコンメーカーが記述を出してた。春になってくればリクガメの調子はまた上がってくる。ケージを置く場所を高くする、しっかりと散水して乾燥のし過ぎを防ぐなどやれることをやるのだ。

ギリシャ エサの時間
エサは腹八分目くらいが良い。
マルギナータ エサ
このようにエサを食べたい時は自ら動き回り寄ってくる。
リクガメ飼育
くんくん匂いを嗅ぎ回りながら歩いていたら食欲があり、絶好調な証拠だ。
カメボス
カメボス

エサを食べないと飼育者は不安だろう。だがな、オレから言わせると皆エサを与えすぎだ。リクガメは野生下ではそんな毎日エサを食べれない。雨や曇りの日なんかは巣穴からでてこねえし。人間が飼うと1日2回のエサやりを毎日とか…そんな与えてたらいつか食わない日が出てくるだろ。エサを勝手にたくさんやり、食べないから心配になって焦る…気持ちの空振りってやつだ。リクガメが食べたいときにエサをやればいい。リクガメはエサを食べたい時はケージ内を歩き回っている。そしてたまにリクガメがケージを歩き回っていても無視するのも大切だ。歩き回ったがエサにありつけなかった日があってもいいのだ。カメを甘やかすな、鍛えろ。

リクガメのエサ食いが落ちた時のまとめ 

毎日しっかり観察をする。散水をするなど環境の維持に努めましょう。それが「飼育」です。

単独飼育VS多頭飼育

単独飼育と多頭飼育のどちらが良いのか。それぞれのメリットとデメリットを挙げてみましょう。
※単独飼育とは1個体をケージで飼育する事です。多頭飼育とは2個体以上のカメをケージで飼育し、カメ同士が接触できる状態を指します。1つのケージに仕切りをして2個体を別々の囲いで飼育することは単独飼育と言う解釈となります(ケージ内にカメが2個体であるが、仕切りで隔ててあるためカメ同士接触しないため)。

単独飼育

1個体でケージを独占なので他個体からの干渉やストレスなどがありません。エサを好きな時に自由に食べることができます。ひっくり返ってしまった時、自力で起きる事しかできません。なんだか1頭だと寂しいかもしれません。

多頭飼育

カメがひっくり返ってしまった時、他のカメがぶつかったりしてくれるので起き上がりやすいです。他個体との競争心が芽生える個体も多くいるため、食欲が上がります。逆に他個体の干渉によりストレスになったり弱ってしまう個体もいます。他個体に噛みつかれたりして怪我をすることもあります。

このような感じです。単独飼育と多頭飼育の違いは、個体間の摩擦があるかないかの違いだと思っていただければよいでしょう。「この個体とこの個体を一緒にして大丈夫ですか?」と聞かれることが多いですが、答えはやってみないとわかりません。一緒にして大丈夫かもしれないしダメかもしれない。一緒にして半年は問題ないかもしれませんが、1年くらい経つと片方の個体がストレスで食欲が落ちてしまうかもしれない。やってみないとわかりません。ただし長い目で見た場合、一生を通じて同じケージで飼育できることはほぼないと思ってください。いつかストレスになって一方のエサ食いが落ちたり、いじめられたりして別ける日が来ると考えた方が良いです。庭などの屋外飼育であれば一生を通じて同じ囲いで飼育しても大丈夫なことが多いようです。

多頭飼育するのであれば同じ種類のリクガメで同じくらいの大きさのものを一緒に飼うのが基本です(パワーバランスを考える)。サイズが違えばパワーバランスも違います。小さい方が大きな個体の圧力に負けてしまい弱っていってしまうでしょう。また種類が違うリクガメ同士ですと同じ大きさでもパワーバランスが異なります。そのため別種同士の同居は基本お勧めしません。そもそも生息環境が違ったりもするので別種同士を同じケージで飼育するのやめましょう。アカアシガメとヘルマンリクガメなど生息環境も性格、餌を食べる速さも違います。こういった種類は絶対に一緒にしてはいけません。当店はいかなる場合も別種同士は同じケージに入れませんし、同じ種類であってもパワーバランスに問題があるようならすぐに別けて対応します。パワーバランスの難しいところは最初は同じくらいで仲良くしていても1頭だけ成長が早く大きくなり、時間とともにバランスにズレが生じることにあります。日々観察をして、リクガメ君がみんな、快適に過ごしているか確認しましょう。

カメボス
カメボス

2個体以上で飼うならもし一方が食欲がなくなってしまったりあまり動かなくなってしまった時の事を考えすぐに別けれるように準備しておけ。かめぢからケージくらいの広さがあれば真ん中に板で仕切りをしてとりあえず干渉しないようにもできるぞ。4頭、5頭で飼育する場合も弱っている個体がいたらその個体を単独飼育に切り替えられるように予備のケージなどを用意しておくのがいい。

カメ同士が仲が良いと油断していたら弱っていて全然動かなくなっている個体、ここ数日あんまり動いていないなあと気付いた時には目をつぶっていて食欲がなくなっている、こりゃイカンなんてこともあります。またある日、血まみれになって歩いている個体(別のカメに噛まれて怪我をしている個体)もいるかもしれません。多頭飼育にはこのようなリスクがあります。ただ、たくさんのリクガメを同じケージで飼育して眺めるのは最高の癒しであり、リクガメ飼育の醍醐味の一つであると言えるのも事実です。

リクガメ怪我 治療
ある日、血まみれになって歩いていた個体。多頭飼育中に両前足を噛まれてしまった。1.10.2023
リクガメ怪我 治療
すぐに単独飼育に切り替えて療養。左の画像は血まみれだった状態から5日後に撮影したもの。
リクガメ怪我 治療
単独飼育の甲斐あって前足の皮膚も厚くなり再生してきた。とても元気だ。鱗も復活するか?3.3.2023

上の個体は異変を確認した時すぐに単独飼育に切り替えました。その結果、見ての通り傷も治り元気になっています。これを放置してしまうともっと弱って死んでしまう事もあります。多頭飼育をする時は問題が起こった場合に備えていつでもカメを分けれるようにしておくと良いです。

カメボス
カメボス

上の個体には悪いことをした。カメは音もなく弱っていき、音もなく他のカメを噛んだりもする。個体間同士で何が起こっているのかを常に把握するのは難しい。考えてもみてくれ。学校でいじめがあってすぐに気付く先生が何人いるだろう?カメ同士の関係性は人間の100倍はムズイ。オレももっとカメを知るために修業あるのみだ。

弱っているカメのサインを見逃さないようにしましょう。
エサを与える時は特に観察しましょう。カメの異変に気付くチャンスです。エサを与える前にケージの前に出てきてエサを待っている個体はとても状態が良いです。しかし、奥の方で潜っていて出てこない個体は注意が必要です。毎回同じ個体がエサの時間になっても出てこなかったりエサを前にしても近寄ってこなければ、すぐその個体は単独飼育に切り替えた方が無難でしょう。ストレスで弱ってしまっているのかもしれませんし、そういう性格なのかもしれません。ただし、それが性格だったとしてもそのケージにいる他の個体とは合わないので分けます。エサの時間になっても出てこないカメはエサの時間になっても出てこないカメ同士で多頭飼育してください(そんなカテゴリーに分けるほどカメを飼育している人は少ないと思いますが)。これがパワーバランスを見て分けるという事です。がめつい個体とそうでない個体は分けましょう。がめつい個体はがめつい同士で多頭飼育であればその時は問題ありません。

カメボス
カメボス

リクガメが他個体の事をどう思っているのかオレにはわからん。他のカメと一緒のケージで楽しそうに見える時もあればウザそうにしている時もあるように感じる。人間と同じかもしれん。独りぼっちだと寂しいと感じる反面、集団にいると「ちょっと周りウゼえ独りになりたい…」と思う時もあるだろ。自分だったらどうだろう?とカメの気持ちになってやることが大切だ。

単独VS多頭飼育まとめ

多頭飼育はリクガメ飼育の醍醐味の一つでもある。挑戦したい気持ちは良くわかる。
異変があったらすぐに分けれるように予備のケージ/飼育設備などを準備をしておく。
弱っていそうな個体がいたら躊躇せずにとりあえず分けて様子をみる。広いケージでカメも小さく、十分なスペースがある場合はケージに仕切りをして分けてもOK。

糞と尿酸について

糞や尿酸などの排泄物はカメの健康状態の指標にもなります。カメを観察するときに糞なども探してみると良いでしょう。
糞の硬さや形などを見てみましょう。健康的なリクガメの糞は下記の画像のような感じです。ほやほやの糞は湿り気があり柔らかい粘土のような感じです。これが1時間ほど経つと乾燥して乾燥わかめのような外見になります。リクガメによっては糞を食べてしまうのでなかなか見つけられないこともありますが、エサ食いと併せて健康状態をチェックするヒントになると覚えておくと良いでしょう(糞を見つけたらカメが食べてしまう前にピンセットでつまんで捨てると良いです)。下痢気味の糞の場合はエサが合っていなかったり、ストレスなどで消化がうまくいかない事、気温が低めなどの理由があります。結局は全体的な飼育環境によることが多いので飼育環境に問題がないか見直すと良いです。

カメボス
カメボス

ヒョウモンガメは全般的に下痢をしやすい。おそらく食べているエサと腸内細菌の性質があまり合わないのだと思う。アフリカの草を食べているのでアフリカの草を消化しやすいようにそれ専用の細菌を腸内で増やしていて消化を助けているのだと思う(ちなみにこれら細菌は親から仔に遺伝する)。そういった理由から日本での飼育で与える小松菜などはあまり消化がうまくいかないのではなかろうか。下痢気味でも普通に育つ個体がほとんどなのでオレの提唱する飼育環境で飼えばまず問題ない。タンポポやオオバコ、ノゲシなども与えてみて一番硬い糞を出したエサをメインにしてあげるとより良いだろう。同じアフリカ系で似たような種類、ケヅメリクガメはあまり下痢をしない。腸内細菌のタイプがヒョウモンとは違うのであろうか。非常に興味深い。

リクガメはある日突然、下痢気味の糞をすることもあります。たまに糞が柔らかい程度であればほとんど問題ないと思います。下痢が何週間も続くようであればエサの種類、飼育環境などを見直してみましょう。改善がない場合は獣医さんに相談しましょう(糞を顕微鏡で解析、病原体や腸の問題を探る)。

尿酸はとりあえず白い物です。白い物が尿酸です。しかし形状がいくつあります。液体状の尿酸、じゃりじゃり状の尿酸、石のように固形の尿酸。カメが健康的で結石の心配などがない場合は液体状の尿酸を出します。液体状の尿酸は尿に混ざって排出されることが多く半透明とも言え、確認知らずらいです。よくお客様から「尿酸が全然出ていない。白い塊が出ない」とお問い合わせをいただくのですが、それはカメが健康な証拠です。当店でお買い上げのリクガメの場合、ほとんど尿酸は液体状の物しか出しませんので、白い塊はあまり確認できないでしょう。リクガメにたんぱく質や糖分が多いエサを与えていると尿酸が固形化し、いわゆる結石になりやすくなります。かめぢからではタンポポ、オオバコなどの野草や無農薬野菜などをメインに与えているため糖分もタンパク質含有量も少なくこのようにカメは健康な状態でお客様にお迎えいただいています。
尿酸は固くなるほどよくはありません。鼻水のようにドロッとした半透明の尿酸は健康的です(確認しずらい)。少しじゃりじゃりしてやや固形化している物でも特に問題ありません。石ころのように硬くなるほどよくないです。さらにこれが大きくなるほどよくありません。大きい石ころ(固まった尿酸)が膀胱に詰まってしまうのが結石となります。これが排出されれば良いのですが排出されないとカメの体調を悪くし、死に至る場合もあります(獣医による治療、超音波や手術などで摘出が必要)。石ころが詰まっている場合は食欲不振や、便秘(石ころが詰まっているので糞などが出せない)、血尿、血便、不自然な歩き方(特に後ろ肢、石ころが詰まっているので痛くて後ろ肢を思うように動かせない、下半身をいきむことが多い)などがあります。日々しっかりと観察していれば気付くことができます。先に記述した糞などからも結石の疑いがあるかわかります。健康的な糞が出ていれば結石の疑いはほとんどありません。やはり飼育の基本は日々の観察です。尿酸は尿に溶け込んでいる状態、少しじゃりじゃりしたり粘々した状態で出るように心がけましょう。

糞と尿酸まとめ

カメを観察するついでに糞もチェックする。糞が見つけられない場合、カメが糞を食べてしまっていることがほとんどある。時間帯などを変えて見ていこう。下痢が続くようならエサの見直しと気温など飼育環境の再確認をする。改善しない場合は獣医さんに。ヒョウモンはもともと下痢をしやすいから仕方ない。
尿酸は尿に混じって出る半透明で液体状がベスト。故に健康的な個体の尿酸は飼育ケージ内であまり見つけられない。次に良いのはじゃりじゃり、硬い石ころで出る場合、後に結石となってしまう事があるのでエサを見直す。糖分やたんぱく質少なめのエサを。おそらくストレスなどのない適切な環境を提供するのも大事。

リクガメいろいろ

ヘルマンリクガメの仲間

最も親しみやすく飼育しやすいグループです。成長しきったサイズも20㎝ほどの個体が多く一般のご家庭で飼育しきれる大きさです。アダルト個体であれば夏は屋外に出して放し飼い、そのまま秋を超えて冬には冬眠という飼育もできます。好奇心旺盛な性格と自己表現が強いのでベビーの時から物おじせずに活発に動きます。こういったわかりやすい性格からも初心者向けのリクガメであると言えるでしょう。ただその活発な性格が成長すると他のカメに対して攻撃的になったり(特に盛りが付いた♂)もしますので、成熟をした個体の同居には注意が必要です。盛りが付いた個体は夜もがちゃがちゃケージ内を歩き回ったり壁を登ろうとしたり落ち着きがなかったりします。「元気すぎてうるさい。」という事もなきにしもあらずです。

地中海リクガメの仲間

ヘルマンよりも大きくがっちりと成長する種類が多いですが、ヘルマンに比べるとやや温和です。成長して盛りが付くと他の個体に甲羅アタックを仕掛けたり、時には噛みついたりもしますが、ヘルマンほどアグレッシブではありません。ある程度のスペースを保ては成熟しても同種同士の同居は大丈夫なことが多いです。ヘルマンと同様に成長した個体は屋外飼育、冬はそのまま冬眠できる物が多いです(一部のギリシャリクガメ中東産などを除く)。

アカアシガメ、キアシガメ、エロンガータなど

多湿系のリクガメでジャングルに生息しているため、ヘルマンなどよりも高めの湿度があると良い種類です。湿度が高いと虫が湧きやすくなるので、そのバランスが重要。虫が気にならない人は常に湿度高めキープでOKですが、気になる人は飼育に工夫が必要です。湿度が高くてもカメが良く動いて床材の上を歩き回るようであれば虫はわかないのですが、これらの種類、それほどアクティブには動かないのでね..エサの許容範囲が広く野菜や野草果物などを何でも食べる感じです。

インドホシガメ、ムツアシガメなど

上記と同じ多湿系リクガメですが、さらに動かないのが彼ら。ムツアシなどはEUCB個体であれば飛び跳ねるような速さで動いたりエサに向ってくるのですが、一般的には神経質であまり動かない種類と言われています。湿度を上げる時は一気に、あとは通気性を良くして乾かすというルーティンが良いのではないでしょうか。性格はかなり温和なので同種間の喧嘩などはかなり少ないグループです。その分、元気なのか元気じゃないのかわかりにくい面があります。日々観察しましょう。

ヒョウモンガメ、ケヅメリクガメなどアフリカ系

ドーム型の甲羅や奇抜な形をした甲羅、または色彩など魅力的な種類が多いです。基本的な飼育方法はヘルマンや地中海リクガメと一緒です。ヒョウモンやケヅメはとても大きく成長することを念頭に入れて飼育を始めましょう。アフリカのリクガメは全体的に日本の冬に食欲が落ちてしまう事が多いです。保温力を高めたりしてもあまり改善されないこともありますが、3月くらいになると徐々に調子が戻ってくる場合が多いです。日本の冬というのは寒くて非常に乾燥するという独特の気質で、リクガメは気圧の変化やアフリカとは違う何かを感じ取っているのでしょう。焦らずにじっくり飼育しましょう。

ゴファーガメやチャコリクガメ

アフリカ系のリクガメに似ています。いくら環境を整えても季節によって活動量やエサ食いが変わったりする個体がそれなりにいます。小食な個体も多いので栄養価の高い野菜や野草を与えるのが良いと思います。例えば小松菜にしても無農薬で栄養価が高いもの、濃い色の葉を与えるのです。こういった積み重ねが良い個体に育てるコツであり、失敗しないコツでもあると思います。飼育が難しいと言われている種類でも良いCBを入手できればヘルマンやイベラギリシャのように飼育できます。

セオレガメの仲間

とにかく動かない個体が多いですよね。全体的に非常に憶病で慎重な性格をしたリクガメだと思います。しかし、慣れれば結構動く。エサの時間になると寄ってくるようになる。ただそこまでになるにはほかのリクガメの数倍時間がかかると言った感じでしょうか。散水をすると活発になる個体が多いので、散水→湿度上げ→餌というルーティンが◎。昆虫なども与えたほうが良いリクガメで、野菜や果物を食べなければコオロギやミミズなどを与えてみるのも大事。当店でも時々動物性のエサを混ぜて与えています。活動量が低いのでエサの回数も他のリクガメよりも少なくて大丈夫です。楽と言えば楽なんですが。

謝罪。

リクガメの飼育方法についてココに書いた内容のあと10倍は書きたいのですが、他のページも作らなければならないし、今は時間がないのです。HP製作が1周しましたら足りない部分の説明を加えたり、さまざまな例や私の経験を追記して行こうと思います。今回はHPリニューアルという事で「リクガメ飼育の超基本的な事」だけ説明させていただきました。私の考える飼育というのは、リクガメ(爬虫類)は野生動物であり、ありとあらゆる機材や道具、知恵を用いていかに野生に近づけた環境で飼育するかという点にあります。野生がお手本であり、絶対に超えられない壁でもあります。昨今は人間のエゴで爬虫類が野生動物からかけ離れて単なる愛玩動物になっているような気がします。私は爬虫類の人間に付かず離れずという距離感が好きなんです。
リクガメの飼育についてご相談はこちらをご確認の上、覚悟を持ってご質問ください。